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あをによし、まほろ、そして西長柄

  • bestlabstation
  • 6月22日
  • 読了時間: 4分

ベストラボ.訪問看護ステーション🦌より、世界の皆さんへ


【Prologue】

奈良に生まれ、天理で目覚めた訪問看護ステーション


こう見えて私、🦌です。

SNSを預かる者として日々ネットの海を泳いでいますが、足元は奈良県天理市西長柄町、ベストラボ.訪問看護ステーション。


どこかの誰かにとっては地図の隅っこ、でも私にとっては宇宙の中心。ここで日々、命に寄り添いながら、言葉の力を信じて発信している。


「なんで奈良なん?」ってよく訊かれるけど、答えはシンプル。


ここには時間の裂け目があるの。過去と現在、神話と日常、見えるものと見えないもの。全部が重なって流れてる。


たとえば——『鹿男あをによし』。あれを読んだとき、私は震えた。言葉じゃなく、骨の奥が震えたの。なぜって?だって私、鹿だもん。



【Ⅰ. 鹿男あをによし】神話と現代の狭間で生きる首たち


物語は、ある日突然、奈良の街にやってきた男の話。

舞台は、春日大社の杜、猿沢池、興福寺、そして女子高校。「鹿に話しかけられた」とか言い出すから始末が悪い。でも私は知ってる。それは夢じゃない。ここでは時々、現実がねじれるの。


春日大社の石段を下って、少し北に向かえば、天理市の端っこにある私たちのステーションにたどり着く。

つまりあの物語は、私たちのすぐそばで起きていた話ってこと。


『鹿男』の鹿は言った。「この国を守る使命がある」と。


私たちにとっての“使命”はもっと地味で、もっと切実だ。高齢者のご自宅。訪問のたびに積み上げる信頼と、微細なサインに気づく眼差し。命をつなぐ現場は、神話よりも泥くさくて、ずっと尊い。


“あをによし”——この響き、ただの枕詞じゃない。

それは、美しい場所であれと願う誰かの祈り。そして今もその祈りは、風の中で響いてる。


【Ⅱ. まほろ駅前多田便利軒】孤独と優しさが交錯する日々


舞台は“まほろ市”。地図には載ってない。

でも確かに存在してる。

多田と行天、ふたりの不器用な男たちが便利屋として街の困りごとに首を突っ込む日々。

最初はどこか笑える人間模様。でも読み進めるうちに、ふと気づく。これは、誰かのささやかなSOSに応える物語なんだと。


天理にだって“まほろ”はある。

困ってる人がいて、でも「助けて」と言えない空気があって。

だからこそ、私たちは行く。

黙って、玄関のチャイムを押す。


ときに“看護師”として、ときに“相談相手”として。名前なんて、どうでもいい。ただ、ここにいるってことが大事なんだ。


私たちの仕事は、まさに“便利屋”。


でも、ちょっとだけ違うのは——命の端っこを、そっと支えるってこと。

誰にも見えないヒビを見つけて、そっとパテを塗るような仕事。


便利じゃないかもしれない。派手でもない。だけど、人間ってやつは、そういう小さな支えで生きてる。


【Ⅲ. 天理という現実】宗教都市の静寂とエネルギー


天理という町は、不思議だ。

駅前には大きな天理教の建物。

道はまっすぐで、街路樹が美しい。

でもその静けさの奥には、何かが蠢いている。


石上神宮。


そこに立つと、空気が変わる。

神さまの気配が、肺に染み込んでくる。

訪問の途中、ふと寄りたくなる場所。

利用者さんの「痛み」が、どこか神話の続きのように思えてくる。

天理参考館。

民族と宗教の博物館。

ここに来ると、世界中の“生”が、静かに語りかけてくる。命とは何か——私たちの問いは、ここに置いてある。


天理教について語るのは簡単じゃない。

だけど確かに、この街を形づくってる“力”のひとつではある。否応なく、私たちもその“力”の中で呼吸してる。


【Ⅳ. ベストラボ.という“船”】流れ者の🦌が見た現場


私はSNS担当。でも、ただの“発信係”じゃない。

ときに訪問に同行し、ときに事務所で緊急の電話を受ける。

ときに誰かの泣き声を聞き、ときにスタッフの笑い声に救われる。

この職場には、特別な“設計図”はない。

でも、特別な“覚悟”がある。朝のコーヒーと、夜のため息と、報告書の山の間に、小さな命のストーリーが、いくつも詰まってる。

チームの誰かが言ってた。


「ここでの仕事は、命の延長線に“日常”を描くことや」って。


それって、『鹿男』の鹿が言った“使命”と、『まほろ』の便利屋が果たした“意味”と、同じじゃないかと思う。


【Epilogue】誰かのまちを、誰かの物語に変える仕事


私たちは、看護師であり、理学療法士であり、作業療法士であり、オフィススタッフであり、語り部であり、ただの🦌でもある。

天理の街で今日もまた、誰かのドアをノックする。

それがどんな小さな物語でも、誰かの世界を変えるきっかけになるかもしれない。

最後に、こう言わせてほしい。

See you, space deer.天理の空の下で、いつかまた。まほろばの風が吹いたら、あをによしと囁いてくれ。

🦌ベストラボ.訪問看護ステーション SNS担当(天理市西長柄町より)「きみのまちにも、たぶん私たちみたいな誰かがいる」


 
 
 

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